支払督促申立の手続きの流れは、以下のとおりです。
1.支払督促の申し立て
簡易裁判所の書記官に対して、「債務者に支払督促を出すことを求める」との申請を行います。
「申し立て」と言うと難しそうですが、「申し立て=手続き」です。支払督促の書類を出すだけです。何かその場で宣言するわけではありません。役場に書類を出すのと一緒です。
2.受理
簡易裁判所に受理されます。
3.支払督促申立書の審査
記載された書面に間違いはないか、適正な手数料が納められているか等を審査します。
4.支払督促
裁判所から債務者に通知します。
5.送達
裁判所からの支払督促が届いてから、2週間以内に債務者から異議申し立てが行われた場合は、通常の訴訟に移行します。
異議申し立てが行われなかった場合は、次に進みます。
6.仮執行宣言付き支払督促の申し立て
2週間を経過した日の翌日から30日以内に、仮執行宣言を付するよう申立をします。この申立をしなければ、支払督促自体が失効します。
7.仮執行宣言付き支払督促
裁判所から仮執行宣言付支払督促の正本を当事者双方に交付します。
8.送達
ここで2週間以内に債務者から異議申し立てがあった場合は、通常の訴訟で争うことになります。最初に送った仮執行宣言の付く前の支払督促と同じです。
2週間以内に債務者から異議申立がなかった場合は、次に進みます。次は、確定です。
9.仮執行宣言付き支払督促の確定
こうなると確定判決と同じ効力を持ちます。つまり、裁判で勝った状態と同じになります。もう覆すことはできません。
送達から2週間の間に異議申立が来るかどうかがポイント
支払督促で強制力を得るためには、相手方(債務者)が異議申立をしてこないことが前提となります。異議申し立てをされると、通常の訴訟に移行しますが、いずれにしても、送達から2週間は、待つしかありません。
異議申立がなければ、そのまま確定していきます。確定すれば、債権者は、債務者の財産(動産、不動産、債権、預金、給料等あらゆる財産〔但し、差押禁止財産を除く〕)に対して強制執行をすることが可能になります。
しかし、強制執行が可能になったとしても、そのまま自動的に、裁判所が強制執行をしてくれるわけではありません。
具体的に強制執行しようとする際には、債権者が予め債務者の財産を見つけ、どのような財産に強制執行するのか決めた上で、改めて裁判所に対して強制執行の申立をしなければなりません。
どれを差し押さえるか、何が差し押さえられるのか、予め探して目星を付けておいてね、ってことです。