支払督促とは、
- 一定の金銭などの支払を求める場合に
- 相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に
申立をする手続きです。
「貸したお金を返してもらえない。だからと言って、相手から強引に奪ったり盗んだりすることは犯罪になってしまう。どうすれば強制的に回収することができるんだろう。」
「差し押さえという言葉があるけど、どうやったらそれができるんだろう。」
といった場合に、検討する手段の一つが、支払督促です。
強制執行に向けた手続き
差し押さえなどの強制執行は、裁判手続きを経なければなりません。
裁判というと、原告と被告がいて、裁判官がいて、何回も法廷に出向いて、最後に木槌でカンカンやって判決を言い渡す、といったイメージがあります。が、何もそれだけが裁判手続きではありません。1日で終わる少額訴訟や、書類審査だけの支払督促も裁判手続きです。これらをうまく使えば、通常の裁判をしたのと同じ効果を得ることができます。
その中でも支払督促は、裁判の中でも最も簡単なものです。「直接裁判所に出向かなくてもよく、数枚の書類だけで申し立てできる」のです。相手の異議が無ければ、強制執行も1ヶ月くらいで取り掛かれます。
支払督促を行うための条件
支払督促を行うための条件は、下記のとおりです。
1.金銭の支払を目的とする請求である
金銭支払以外では、金銭の代替物または有価証券に限られています。なお、請求金銭の額に制限はありません。
2.相手方に送達することができる
相手が行方不明などではないことが必要です。相手の所在が不明だと、支払督促を届けることができず、効力を生み出すことができません。
申立は相手の住所地の簡易裁判所
支払督促は相手方の住所地の簡易裁判所に申し立てることになります。支払督促の申し立ては郵送でも受け付けてくれますので、相手が遠くても申し立てをすることは可能です。
支払督促の長所・短所
長所
- 裁判を行う場合に比べ、印紙代が半額程度
- 郵送で申し立てができる
- 申立人が裁判所に出頭しなくていい
- 裁判所は書類審査のみで支払督促を出してくれる、証拠調べはしない
- 相手が異議を申し立てなければ、証拠調べや審理を経ずに、早い段階で仮執行宣言を得て強制執行できる
短所
- 金銭の支払請求などにしか利用できない
- 相手の住んでる管轄の簡易裁判所に申し立てとなる
- 相手方が異議を申し立てた場合、訴訟へ移行する
簡易裁判所の窓口は、手続きの相談には乗ってくれます
「裁判手続きって難しそう」と思われるかもしれませんが、簡易裁判所に行けば支払督促の用紙が準備してありますし、窓口の書記官に相談して記入していけばそんなに難しくなく完成させることができます。また、簡易裁判所はFAXサービスもやっていますので、足を運ばずに情報を取り出すこともできます。
裁判所の窓口と言うと、なんだか怖そうなイメージがありますが・・・確かに、人の出入りがあんまりないので、静かです。が、申立の書式や書き方に関しては、少しは相談に乗ってくれます。
但し、この申立で「勝てるのか」といったことへのアドバイスは全くもらえません。当然ですけどね。そんな相談は持ち込んでもダメですし、向こうも迷惑なので、やめましょう。アドバイスをもらえるのは、あくまで手続きのやり方、書式に関するものだけです。